syu ü e Roman

掃いて捨てるショートショート。

単純な駄文

‪心の血液を入れ替えないと、少しずつ、思うより早く身体は腐って‬行くので、僕は目を瞑って朝が来るのを待っている。
どうしたら入れ替える事が出来るのか考えては時計を見たりした。

 

34度3分の熱病に浮かされる。
目の前が大きくなったり小さくなったりして、仰向けになると、僕の背中が何にも触れていない錯覚があった。
外を歩く子供達の笑い声と蝉の鳴き声が現実へ僕を引き戻す。
血を入れ替えないと。

 

20と1回目の誕生日が最悪だった。
輪切りのパイナップルとスピリタスの匂いが饐えた臭いにも感じられる。
時計の針が12に重なった瞬間にスピリタスの熱が胃まで落ちる。
3年B組の教室から体育祭を眺めて、瓶が空になろうとした頃、視界がブレた。
あの2年11ヶ月ぶりのあの感覚がフラッシュバックして、当時と同じようにアルコールと胃液が混じった液体を口から漏らす。
本当に最悪だった。

 

記憶を洗うとどれだけの記憶が残るのだろうか。
僕は初恋の記憶は残る気がしない。
そもそも「初めての」事は大概、記憶から消えてしまう気がする。
始まりはいつも嘘だから濁っているし、もっと言えば汚れてると思う。

僕の血はきっと汚いし、心の血液ももう替えが間に合わない程に汚れているだろうけど、もう少し郷愁に焦がれたいし、もう少し記憶を作りたい。
心がパンクする位の血液で満たしたい。
それが汚い物でも、綺麗な物でも。